消防団の活動は、ときに命がけだ。「燃えているところにプロパンガスがあったり、灯油タンクが燃えていたり、そういうのが怖かったですね」。27歳で宮城県色麻町(しかま・ちょう)の消防団に入団した永山和則さん(49)は、20年以上地域の防火防災活動や火災時の消火活動などに従事。これまで火災現場へは7回ほど出動したという。 【宮城県色麻町】

地域のことは、自分のこと

地域の消防団員は平時それぞれの職業に就きながら、いざ火災が起こると現場に駆けつけ、消防士の指揮の下で消火活動に参加する。火災現場が近くだと、消防士が到着する前に初期消火活動を行うこともあるという。

火災が発生すると危険を顧みず現場へ向かうのは、地域に生きる者にとっては、他の家の事であっても決して他人事ではないからだ。農作業が機械化していなかったかつての農村では、田植えや稲刈りは地域の人たちの共同労働によって初めて成り立つ大仕事だった。田植えの時期になると、一定年以上の男女が総出で各戸の水田を順に植え付けていった。

また、地域の各集落には「契約講」という仕組みがあり、色麻では講の中で亡くなる人があると直ちに講員が喪家に集まり、葬儀に関係する役割が講員の間で分担され一切の世話をした。色麻のある地区では、こうした契約講が近年まで機能していたという。つい最近まで、農村の家は単独では成り立たず、地域と関わり合うことによってのみ、その生活が維持できたのである。

「入団した頃は、俺に火なんか消せんのかなって思いました。現場には誰かの後ろに隠れて行くような感じで。でも、20年以上やっていると、もういつの間にか先頭に立っていて」

宮城県大崎市の旧三本木町から婿として色麻へ来た永山さん。地域との関わり合いが強くなり、中堅といわれる世代にもなり、地域を守る責任感が増しているという。消防団の活動に取り組むその真剣な眼差しは、生きることすべてをまるごと支え合うかつての農村の強い結びつきを教えてくれた。